旅のきっかけ

何か大きなきっかけがあったわけではない。

でも、簡単な気持ちでこの決断をしたわけでもない。

それどころか、不安で心配なことの方が多い。

これまでの人生でさまざまな経験をしてきた。そのひとつひとつがあったから今の自分がある。

決断をしたきっかけは、やはりこれまでの自分の中にあるんだと思う。

 

 

・自然に触れる喜びを知った幼少期

父親と自転車で遠くへ行くことが多かった。ほんの数十キロでも当時の自分にとっては冒険だった。夏休みには登山をし、雄大な景色を眺めることの素晴らしさ、星空の美しさ、自然の中で食べるご飯のおいしさを知った。学生時代を捧げ、社会人になってもチームに所属し、部活で教えることにまでなるサッカーとの出会いは、6才の時だった。学校から帰ると外に飛び出し、日が暮れるまで走り回っている幼少期だった。

 

 

・冒険心に目覚めた中高学生時代

中学校を卒業すると、自分の冒険がしたくなり自転車で千葉県一周、高校卒業後は四国を一周した。親から離れ自分の力で突き進む。不安はあるけど、その不安さえも好奇心へと変わっていった。長い道のりでも自分が足を動かし続ければゴールに辿り着くことができると実感した。そして、無事帰着した時には、「ホッとした気持ち」と「もっと走りたい」という相反する思いが生まれ、それが妙に心地いいものだった。

 

 

・サッカーに明け暮れた大学時代~就職

いつか自転車で日本一周をしたいという思いがあったような気がする。しかし、その時に最も大切にしていたのは、サッカー部の活動。あっという間に4年間が過ぎ引退。大学卒業後には現実的な選択肢として就職を選んだ。教員になりたい思いを持ちつつも、一般企業で社会経験を積むことも自分のためになると考え、幸運にも内定をもらうことができた旅行会社に就職した。

 

 

・「教員」と「日本一周」、自分のやりたいことに気付いた社会人3年目~退職

図らずも中学校や高校の修学旅行の手伝いを主な仕事としていた。準備から添乗まで、子どもたちや先生方と共に協力しながら進めていくことにやりがいを感じる一方、もっと子どもたちと関わり、様々なことを伝えたいという思いが強くなった。また、同時に、仕事で日本の各所を訪れる中で、バスに乗って辿り着くのではなく、自らの力でその場所に辿り着きたいという思いが沸き上がっていた。忘れかけていた自転車日本一周という夢が再び抑えきれないものになっていた。「教員になること」「自転車で日本一周すること」という2つの夢を叶えるために退職を決意した。

 

 

・自転車日本一周の実行

2011年5月に自転車日本一周をスタートし、2012年1月15日まで1万Km以上もの距離を無事に走りきることができた。一人きりで孤独なものだと思っていた旅が、実際はたくさんの人々との出会いがあり、HPを通じて多くのつながりを生み出すことができた。また、HPを見ている人が自分と一緒に旅を楽しんでくれていることも新たな発見だった。

(日本一周の日記等はこちらから→山あり谷あり~自転車一周の旅~)

 

 

・教員としてのスタート

日本一周の最中に受けた教員採用試験に合格し、2012年4月から中学校教員として働き始めた。無限の可能性を秘めた子どもたちには、様々なことに挑戦してほしいと伝え続けた。当初はその言葉に自信があった。自分は夢を追いかけて日本一周したのだから。しかし、苦手なことにも精一杯挑戦している子どもたちの姿を見て、自分ももっと挑戦しなければいけないと思うようになった。大人こそ学び続けるべきだし、その姿を見せることが大切だと思うようになった。

 

 

・新たなる決意をした教員5年目~退職

子どものころから自宅に貼られていた世界地図と、自分の奥底にあった世界を走りたいという気持ち、そして、自分自身に突き付けられた「挑戦することの大切さ」から目を背けられなくなった。 そして、世界へと旅立ちを決意した。